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不登校支援活動を10年以上行なってきた私が「親の変化」の話をすると、「はいはい、『親が変われば子供も変わる』っていうよく聞く話ね」と早合点する人が出てきます。「結局、子供が不登校になったのは親のせいってことでしょ……それを直せって話でしょ」と誤解する人も出てきます。
私が「親の変化」について話す場合、そういう話ではありません。ありふれた内容ではありませんし、親御さんを責める内容でもありません。もっと深い内容で、丁寧な説明が必要とされる内容です。
まずは、あなたの頭にある余計な知識をリセットすることから始めましょう。今までインターネット検索・SNS・書籍・周囲の話などで得た不登校関連情報をいったん頭のなかから消去してください。実際に消去できなくてもかまいません。頭のなかで消去する想像をしてみるだけでも十分です。
それができたら、その“まっさらな状態”の頭でこの先のつづきを読んでいきましょう。余計な知識がない頭で読むことで、この先の説明がわかりやすくなるはずです。
<目次>
結論から言いましょう。
親の変化ひとつで不登校解決に向かいます。
親が不登校専門家の導きにしたがって正しいほうに変化する、たったそれだけで子供の不登校が解決に向かうのです。
ただし、前述でもお伝えしたとおり、そこには“深い理解”が欠かせません。インターネットや本などでよく言われていることと大きく異なる点を理解する必要があります。それができなければ間違ったほうに親が変化してしまい、逆に不登校悪化の原因となってしまいます。
ですから、今これを読んでいるあなたが深く理解できるように丁寧に説明を進めていきます。
なぜ、親の変化ひとつで不登校解決に向かうのか?
その理由は、現実が柔らかくなるからです。
現実が柔らかくなる? 突然の意味不明な表現に混乱する方もいるかもしれませんが安心してください。その混乱は理解が進んでいる証拠です。「わかっているつもりの状態」が「わかっていないと自覚している状態」に移る過程で起きるものが混乱状態ですから、理解が進んでいることを喜びましょう。
「現実が柔らかくなる」とは、例えば次のようなことです。
まったく笑わない父親がいる
↓
まわりの家族は父親に気を使っている
↓
家族間のコミュニケーションが滞っている
↓
現実が固い状態になっている
↓
父親が笑うようになった(=親の変化)
↓
まわりの家族が父親に余計な気を使わなくて済むようになる
↓
家族間のコミュニケーションがスムーズになる
↓
現実が柔らかくなる
このように、親の変化ひとつで現実が柔らかくなるんですよね。
上の例で現実が柔らかくなった家族はどうなるでしょうか? 子供はどうなるでしょうか?
少しイメージしてみればわかるでしょう。
柔らかくなったものは変えやすくなります。
固くなった紙粘土を柔らかく戻せば変形しやすくなるように、柔らかい状態に戻った家族は家族全体が変わりやすくなります。(もちろん、その家族の一員である子供も変わりやすくなります)
ですから、親の変化ひとつで不登校解決に向かうのです。親が変化することで現実が柔らかくなり、現実が柔らかくなることで家族全体も子供も変わりやすくなり、子供が変わりやすくなることで不登校が解決に向かいやすくなる。簡単に言えばそういうことです。
ここまで読んだ段階では、なんとなくのイメージができれば十分です。「親の変化ひとつで現実が柔らかくなって、現実全体が変わりやすくなり、柔らかくなって変形しやすくなった現実の一部として存在する子供も変わりやすくなるんだな」と思えるだけでも十分に効果があります。
なんとなくのイメージがあるだけでも「子供を変えようとする意識(=不登校悪化に向かわせる意識)」から離れることができますから、不登校解決に向かう効果は十分に生じます。
ここからは、さらに具体的な説明をします。「親の変化」が子供にどんな影響を及ぼすのか、それによってどのように不登校改善が起きるのか、それらの点についてさらに具体的にお伝えします。
親の変化は多様に無限にありますが、例えば次のような変化も立派な「親の変化」です。
親が学校の対応に不満を感じている状態
↓
変化
↓
親が学校の対応でよくしてもらっている部分に目を向け、感謝する状態
この変化が親御さんの心に生じるだけでも、立派な「親の変化」です。
こうして変化した親御さんは、その後どういった行動をとるでしょうか?
担任の先生によくお礼を言うようになるかもしれません。
校長先生と話すときに自然な笑顔がこぼれるかもしれません。
学校側の話をよく聴くようになるかもしれません。
先生に連絡をとったり学校に出向いたりする回数が増えるかもしれません。
細かな行動変化まで含めれば、その数は無数。とてつもない行動変化が起きるはずです。
そうして行動に変化が起きると、学校側はどうなると思いますか?
よくお礼を言われるようになって嬉しくなった担任の先生は「もっとこの子の力になるぞ!」とヤル気が出てきて、今まではしなかったような理想的な対応をしてくれるようになるかもしれません。
校長先生をはじめとする学校側の先生たちが「この親御さんは学校側の話をよく聴いてくれる冷静な人だ」と感じ始め、安心し、不登校改善を妨げる余計な干渉をしなくなるかもしれません。
その他にもさまざまなところで変化が起きて、学校との関係も学校が子供に与える影響もまるで違ったものとなってきます。
こうして不登校解決に向かっていくのです。
はじまりはたった1つ、親の変化。そのたった1つの変化が波及し、学校側の対応まで様変わりさせ、子供の不登校を解決に向かわせるんですね。
前述の例を読み、「学校の対応に不満を感じる気持ちを感謝に変えることはむずかしい」と思う方もいるでしょう。安心してください。それが普通です。逆に「簡単に変えられる」と思っているほうが危険で、そう思う方は表層心理だけを変えようとして失敗することが多いのです。
不登校解決に成功したいなら、深層心理まで変えなければなりません。プレッシャーを感じさせないように私は「〜〜しなければならない」という表現はめったに使いませんが、ここでは使います。不登校解決に成功したいなら、深層心理まで変えなければならないのです。
同じ例のほうがわかりやすいので、前述の「学校の対応」に当てはめて説明しましょう。
頭をまっさらにして、次のように考えてみてください。
「もしも、学校側の対応が『私の心』を鏡のように映しているものだとしたら……」
そうして考えてみると、何か思い当たることがありませんか?
例えば、担任の先生が少々強引に子供を学校に連れて行こうとしているとき、親御さんが「そんなに無理に連れて行こうとしないでほしい」と思っているとします。
その場合、自分(親)の考えと異なる考えで動く学校に不満が生じますが、本当に“異なる考え”なのでしょうか?
本当に、自分(親)の考えと学校側の考えは異なるのでしょうか?
このような場合、親御さんの心のなかをよくよく探っていくと実は無意識の奥に「無理やりにでも子供を学校に連れて行きたい気持ち」が隠れていることがあります。その無意識の奥に隠れていた気持ちを「学校の対応」が実行してくれているだけで、実は“理想どおり”であることも多いのです。
ですから、
「もしも、学校側の対応が『私の心』を鏡のように映しているものだとしたら……」
と考えることで、やることがシンプルになるんですね。
学校側が「親の心」を代わりに実行してくれているだけなら、私(親)を変化させれば「学校側の実行」も変わるはずです。シンプルです。
表層心理では学校側の対応に不満があっても、それは“表層”であって深層ではありません。私たち人間は心の表層に意識をとられ、表層心理に振りまわされがちですが、本当に大切なところはそこではないのです。
学校側の対応に不満を漏らす親御さんはたくさんいます。
学校側の対応を変えようとして戦闘態勢に入る親御さんもたくさんいます。
「学校の対応に不満を抱いている自分が嫌になります」と自己嫌悪に陥り、なんとか気持ちを切り替えようと努力している親御さんもたくさんいます。
そのような人たちは、心の深い部分で起きていることに気づいていません。「本当は理想どおりになっていること」に気づかないまま、表面的な改善を試みるばかりなのです。(そして、それが失敗し続けています)
専門家の力を借りずに自己流で対応改善を続けている親御さんは、そこに大きな危険性があることを認識したほうがいいでしょう。前述を読んでわかるとおり、本物の不登校対応改善は素人がひとりで簡単にできるものではないのです。
ここまで読み、
「どうすれば心の深層を変えることができるのか?」
「どうすれば自分自身を確実に変化させることができるのか?」
などと疑問に思っている方もいるかもしれませんが、その方法は“トレーニング”しかありません。
筋トレやダイエットのようなものです。
「どうすれば鍛えにくい部分の筋肉を鍛えることができるのか?」
「どうすれば確実にやせることができるのか?(リバウンドしないのか?)」
と質問して、いくつかコツを教えてもらったとしても、結局はトレーニングを継続しないと体型は変わりませんよね。
それと同じです。
不登校対応における「親の変化」にも毎日の“トレーニング”が必要で、それがはっきりとわかっているためSIAPROJECTのサポート「ひふみ~よ」ではトレーニングを毎日継続できるようになっているのです。
ひふみ〜よ会員のみなさま以外(一般の読者のみなさま)の力にもなれるように、ここでは「親の変化を深層心理から確実に起こす方法」のなかで簡単にできることを1つだけお伝えしておきましょう。
ただし、これからお伝えすることはあくまでも“コツ”の1つです。
前述のとおり、コツを知ってもトレーニング不足なら何も成果は出ませんし、一度や二度トレーニングするだけでは不十分で、トレーニングを“継続”することが最重要ポイントとなりますので、その点を覚えておいてください。(※)
※ひふみ~よ会員以外の方はトレーニングを継続した場合と同等の効果を得るためにこの記事に何度も目を通すことをオススメします。
自分自身の心の深層に変化を起こすためには、まず、「自分自身が心の深い部分で何を思っているのか」を把握しなければなりません。ふだん見えないようにカーテンのようなものでさえぎられている状態を変え、心の深い部分が見える状態にする必要があります。
そのためには、その“カーテンのようなもの”を取り除く必要があるのですが、その“カーテンのようなもの”を取り除く手段として有効なのが「嘘をつかないようにすること」です。
あまりにも基本的なことで拍子抜けした方もいるかもしれませんが、その「拍子抜けするような基本的なこと」があなたはできているでしょうか?
「嘘をつかないようにする」
とってもシンプルで基本的なことですが、本当にできているでしょうか?
私たち人間は、日常的にささいな嘘をついてしまうものです。
ちょっと自分を偽ってまわりに合わせたり、本音ではないことを言うことでその場を和ませたり、どちらかと言えばプラスの現象を起こすためにささいな嘘をついてしまっています。
そうした日常が土台となっているため、ネガティブな嘘もなかなかなくなりません。
ポジティブ傾向の強い“優しい嘘”を連発するうちに、それがクセとなり、そのクセが無意識にエスカレートし、嘘をつかないほうがいい場面でまでさらりと嘘をついてしまうのです。
夫婦喧嘩をしたとき、本当は「ごめんね」と思っているのに相手を攻撃したくて「心にもないこと(嘘)」を言ってしまうこと、ありませんか?
緊張する相手と話しているとき、沈黙が気まずくて「早く何か話さなきゃ!!」と焦って「適当なこと(嘘)」を言ってしまうこと、ありませんか?
そういうふうに“ささいな嘘”が積み重なっていくと、蓄積された嘘が過剰になり、バランスを崩し、自分自身にも平気で嘘をつくようになります。その「自分自身に対する嘘」が心の深層を見えなくさせる“カーテンのようなもの”となってしまうため、逆に「嘘をつかないこと」を心がけることが“カーテンのようなもの”を取り除く手段になるのです。
「他人に嘘をつかないこと」を日常的に意識すると、過剰に嘘をついている状態から嘘が引き算され、だんだんとバランスを取り戻していきます。
“適度に嘘もつく状態”と表現すればわかりやすいでしょうか。嘘をつくことに関してバランスがとれるようになり、かたよった状態から解放されていきます。
そうして「他人に対する嘘」が健全化していくと、自分自身にも余計な嘘をつかなくなり、“本当の自分の心”が見えてきます。そうして自分の深層に隠れた本音に気づきやすくなり、その深層を変えるステップにも進めます。
「隠れた本音が見えてきても、その本音を変えるのが難しいのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
このステップまで進んできた時点で自分に正直になっていますから、「自分自身を変えたい」と心の底から思う「本物の欲」にも正直になるでしょう。その「本物の欲」で本音も自然と変化を見せ、理想的な状態に近づいていきます。
前述の「学校の対応」の例で言えば、次のように自然と変化します。
他人に対してネガティブな嘘をつかないように心がける
↓
自分自身に対しても余計な嘘をつかなくなる
↓
「無理やりにでも子供を学校に連れて行きたい気持ち」が心の深層に隠れていると気づく
↓
「この気持ちを本気で変えたい」と思う“本物の欲”にも正直になる
↓
本物の欲が「私は本当に無理やりにでも子供を学校に連れて行きたいのか?」と問いかける
↓
“違う気持ち”が見えてくる
↓
学校に行くかどうかにかかわらず子供が今生きているだけでありがたいと思う気持ちがあることに気づく
↓
子供に無理強いをしなくなることで子供はプレッシャーから解放され、伸び伸びと力を発揮できるようになる
↓
不登校が解決に向かう
こうして自然な変化が起き、徐々に理想的な状態へと近づいていきます。
上記には書きませんでしたが、もちろん、親の心が深層から変化することで「行動」が様変わりすれば学校への影響も大きく変わり、学校側の対応も今までとはまったく違ったものになります。
前述で、私はこう書きました。
>はじまりはたった1つ、親の変化。
>そのたった1つの変化が波及し、学校側の対応まで様変わりさせ、子供の不登校を解決に向かわせるんですね。まさにこの変化が起き、子供の不登校が解決に確実に向かうのです。
まさにこの変化が起き、子供が不登校脱出に確実に向かうのです。
「嘘をつかないこと」
こんなシンプルな手段が驚くほどの成果を生み出すなんて、普通の親御さんは信じられません。信じられない親御さんが“大半”で普通です。
だからこそ、“大半”の親御さんは不登校改善で失敗し、子供の状態を逆に不登校悪化に向かわせているのです。「正しく奥深いところからの改善」をおこなっていないため、逆効果を生じさせてしまっているんですね。
今これを読んでいるあなたは、そうならないように気をつけましょう。
繰り返しになりますが、親が不登校専門家の導きにしたがって正しいほうに変化する、たったそれだけで子供の不登校が解決に向かいます。“たったそれだけで”なのですが、ただ変化すればいいのではなく、適切に正しい方向に変わっていく必要があります。
その変化を“確実”に起こすために、上記を参考にしていただけると嬉しいです。
執筆者:SIAPROJECT代表 木村優一
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