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不登校の段階的アプローチは有効?無効?

 

結論から言いましょう。

 

不登校の段階的アプローチは、使い方を間違えなければ有効です(※)。

 

※ここではアプローチを「働きかけ」の意味で使っています。

 

プロでも見落としがちな注意点に気をつけて活用すれば、段階的アプローチでお子さんの不登校改善をスムーズに進めることができます。

 

ただ、甘く考えないでください。ほとんどの親御さんは中途半端な知識で誤った使い方をしているため、段階的アプローチで成功しません。成功を望むなら、意識を高める必要があります。本気で活用する決意がない方に、この記事はオススメできません。

 

ここから先は、意識が高い親御さんだけに読んでいただきたい内容です。

 

 

不登校を段階でわけることの危険性

 

重要なことから書きます。

 

まずは、不登校を段階でわけることの“大きな危険性”を頭に入れておいてください。

 

不登校を「段階」でわけることには大きな危険性があります。不登校を4段階にわける専門家、5段階にわける専門家、6段階にわける専門家、7段階にわける専門家……さまざまですが、何段階にわけるかは大した問題ではありません。問題は、そこに大きな危険性が生じることです。

 

どんな危険性が生じるか?

 

例外を見落としがちになる危険性です。

 

例えば、ある専門家が不登校を6段階にわけていたとしましょう。

 

予備期→混乱初期→本格中期→安定後期→登校刺激期→経過観察期

 

この6段階にわけていたとします。

 

通常は、段階ごとにパターンとアプローチが説明されます。

 

「混乱初期では五月雨登校や別室登校になりがちです、登校刺激はやめておきましょう」

 

「本格中期ではお子さん自身が葛藤しています、休むことに専念させましょう」

 

「登校刺激期ではお子さんの関心が学校に戻っています、適切な刺激を行いましょう」

 

……といったように。

 

この知識が頭にあると不登校改善のしかたがわかりやすくなったように思えるのですが、そこがトラップです。段階ごとのパターンとアプローチが頭にあると、その知識にしたがいすぎてしまい、「パターンに当てはまらない例外的な再登校チャンス」が訪れたときにそのチャンスを活かせません。“例外”が起きたときのアプローチ力が弱まります。これが、不登校を段階でわけることの大きな危険性です。

 

「それくらいわかっている!そこまで知識に影響されない!」と思うかもしれませんが、親御さんは自分が思っている以上に“パターン化”に染まりやすく、パターン化に染まることでパターンから外れた場合へのアプローチ力が弱まります。それがなぜだか、わかりますか?

 

 

パターン化に染まってしまう原因

 

親御さんの頭がパターン化に染まってしまう原因。

 

その原因の1つは、親御さん自身の強度の不安です。

 

子供が不登校になったことで大きくショックを受け、将来に強い不安を感じていると、親御さんの脳は通常では考えられないほどのエネルギーを消費しつづけます。すると、それが原因で脳がエネルギー不足になり、脳がバグったような状態になります。そのため、もともとは賢い親御さんでも“パターン”を過剰に信じるようになり、パターン化に染まった頭になってしまうのです。

 

ここは脳科学の解説の場ではありませんから専門的な説明は省きますが、上記の説明でイメージはつかめるはずです。正確なメカニズムを知りたい方は、脳に関する文献をご自身でお読みになってみてください。私も専門外ですが脳に関して日々学んでいます。ここでは誰でも理解できるようにわざと簡潔に書いている点をご了承ください。

 

親が子供の不登校でショックを受ける→親が子供の将来に強い不安を感じている→親の脳がエネルギーを大量に消費しつづける→親の脳がエネルギー不足でバグったような状態になる→親の頭がパターン化に染まってしまう

 

この流れに、子供の不登校が不安で何かにすがりたくなる気持ちも追加で作用します。脳が機能低下した状態に「不安で何かにすがりたい気持ち」も重なり、ますます不登校の「段階」に頭がとらわれ、段階ごとのパターンを盲目的に信じてしまうのです。

 

上記が原因で“例外的不登校改善チャンス”を逃しつづけ、不登校改善がなかなか成功せずにいる親御さんが山ほどいる事実を知っておいたほうがいいでしょう。時間に余裕がある方はご自身で調べてみてください。ブログなどで不登校対応の失敗談を書いている親御さんは数多くいます。その親御さんたちの失敗談を読めば、「本当はあのときがチャンスだったんだと思います」といったような記述が出てくるでしょう。その言葉がまさに「例外的不登校改善チャンスを逃した事実」です。

 

 

もう1つの大きな危険性

 

不登校を段階でわけてパターン化することには、もう1つ大きな危険性があります。

 

それは、機械を相手にしているような対応になる危険性です。

 

「この段階のときには子供はこうなる」とパターン化する説明を読んでいるとき、機械の取扱説明書を読んでいるような感覚になります。親御さんにそのつもりがなくても、頭はしっかりとその感覚になり、その感覚を浸透させています。それがつづくと、どうなると思いますか? だんだんと子供を機械のように見てしまいます。機械を相手にするように子供に対応し、その「人間味のない対応のしかた」が子供にしっかりと伝わり、それが原因で親子関係が破綻に向かいます。親子関係が破綻に向かえば、もちろん不登校が急速に悪化します。

 

この大きな危険性もしっかりと頭に刻みつけておきましょう。

 

 

不登校の段階的アプローチを有効に活用する工夫

 

ここまで説明してきた、大きな危険性。頭に入りましたか?

 

前述の危険性を記憶できたら、不登校の段階的アプローチを有効に活用する工夫をしていきましょう。

 

工夫はいろいろとできますが、ここでは1つだけお伝えします。

 

不登校の段階的アプローチでお子さんの状態を良くしたいなら「パターンにとらわれない思考を取り戻す時間」を設けることです。子供がどの段階にあるかを考えながらも、それ以外の段階で起きるはずのことが今起きていないかを考えるのです。

 

わかりやすくするために、アプローチの部分を単純に入れ替えてもいいでしょう。例えば、今、子供が「混乱初期」に当てはまると考えられる場合、混乱初期のアプローチと本格中期のアプローチを試しに入れ替えてみるのです。

 

混乱初期→登校刺激はやめておきましょう(アプローチ)

 

本格中期→休むことに専念させましょう(アプローチ)

 

両者のアプローチを入れ替えると……

 

混乱初期→休むことに専念させましょう(アプローチ)

 

本格中期→登校刺激はやめておきましょう(アプローチ)

 

こうなります。

 

こうして単純に入れ替えてみるだけでも、目が覚めたような気分になるかもしれません。

 

「今は登校刺激をやめておくだけではなくて、休むことに専念させることまでやったほうがいいのかも?」

 

と、新たな視点が見えてくることもあるでしょう。

 

“例えば”ですが、このようにして「パターンにとらわれない思考を取り戻す時間」を設けることが重要です。この時間をとるだけで、不登校の段階的アプローチが有効に機能しやすくなります。

 

他にもいろいろと説明したいのですが、初心者向けの読みやすい記事としてはこのあたりまでの説明がちょうどいいと思いますので、ここまでとさせていただきます。他の記事も参考にしていただけたら、みなさまの不登校改善がさらにスムーズに進むはずです。ぜひ、お読みください。

 

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執筆者:SIAPROJECT代表 木村優一

 

 

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