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不登校の子供が習い事をするのは良いことなのでしょうか?悪いことなのでしょうか?
結論から言えば、良いことです。
良いことに決まっています。
私が善悪について断言することはほとんどありませんが、この点に関してははっきり断言しましょう。
不登校の子供が習い事をするのは良いことです。※ただし、条件があるので必ず後述を読んでください。
どうして良いことなのか?
その理由は単純明快。
習い事をすることで“勢い”がつくからです。
通常、習い事をすると体を動かしますよね。運動系の習い事ではなくても、指を動かしたり口やのどを動かしたりして何らかの形で体を動かしているはずです。
まず、その身体動作が勢いを生じさせます。
たとえわずかであっても(もちろん大きな動きであっても)動きから勢いが生じ、その身体動作による勢いに連動して心にも勢いがつき、その心の勢いによって学校に行く気力も湧きやすくなり、不登校脱出のきっかけとなることが多いのです。
ですから、勢いがつくことに目を向けるだけでも、習い事をすることは不登校の子供にとって良いことだと断言できます。
もう一つ、習い事には重要な効果があります。
それは成功体験のエネルギー。
習い事を継続して上達していくと、その上達は成功体験となり、その成功体験はその子のエネルギーになります。
実はその成功体験のエネルギーが不登校脱出に向かうエネルギーになって、大きな不登校改善効果を生じさせるのです。
どうしてそのエネルギーが不登校脱出に向かうエネルギーになるのか?
そう疑問に思う方は、自分自身が何らかの成功体験をしたときの思考を思い出してみてください。
自分はこれができた → これができたということは他のこともできるかもしれない
こんなふうに思ったこと、ありませんか?
そんなふうに、ある分野の成功体験は「他の分野のエネルギー」を生じさせるので、習い事の成功体験が「不登校脱出に向かうエネルギー(例:学校に行く自信)」になるのです。
ここまで読んできて気づいたかもしれませんが、習い事が良い方向に作用するためには“ある程度の継続”が必要となります。
よほどの天才でない限り、ある程度継続しないと上達しないでしょうし、継続しなければ勢いが積み重なることもありません。上達しなければ成功体験のエネルギーも得られず(不登校脱出のエネルギーも得られず)、身体動作の勢いが一時的なものなら、それに連動する心の勢いも大したものではないでしょう。
ですから、習い事が良い方向に作用するためには“ある程度の継続”が必要なのです。
そういうわけで、私の冒頭の断言には補足が必要です。(読者のみなさんがスムーズに理解できるように、あとから補足を加える形で書いています)
補足して書くと、次のようになります。
「不登校の子供が習い事をするのは、継続できるなら良いことです」
ここで疑問に思った方もいるでしょう。
「子供が習い事を継続できるようになるためには、どうすればいいの?」
と。
その答えはシンプルで“自発性の尊重”です。
子供が自発的に習い事をはじめた場合、その習い事を継続できる可能性が高いでしょう。絶対につづくとは言えませんが、親が無理やりさせた場合と比べたらはるかに継続の可能性が高いはずです。
ですから、習い事を不登校脱出のきっかけにしたいなら、親が無理やり習い事をさせるのは好ましくありません。そうではなく、子供が自ら習い事をはじめる必要があります。
そういうわけで、ここでもまた冒頭の私の断言に補足が必要になります。
私の冒頭の断言に補足すると、次のようになります。
「不登校の子供が自らはじめた習い事で、それを継続できるなら、その習い事は不登校脱出に向かわせる良いことです」
では、どうすれば子供の自発性を尊重できるのでしょうか?
何をどうすれば、子供が自発的に習い事をはじめ、継続するのでしょうか?
その方法は奥深いものなので、ここでまとめてお伝えすることはできません。(どうしても知りたい方は「ひふみ~よ」の過去の音声をお聞きください)
ですから、ここではポイントを3つだけお伝えします。
まず1つ目のポイントは「決めさせること」です。
あなたは今まで、子供に決めさせずに自分(親)が決めてこなかったでしょうか?
特にささいなことに関して。
子供に決めさせずに親が決めてしまったこと、ありませんか?
子供自身の決断を待つのがめんどくさかったり、子供が失敗するのが嫌だったりして、子供に決めさせずに親が決めてしまうことはよくあるものです。
まずは、そこを少し変えてみましょう。
今までよりちょっとだけ多めに子供に決めさせてあげるのです。
そのさじ加減は子供の年齢によって違ってきます。
子供が小学校低学年のようなまだまだ幼い年齢なら本当に小さなことから決めさせてあげればいいでしょうし、高校生や大学生のような年齢ならある程度大きなことを決めさせてあげてもいいでしょう。
ポイントは「今まで」と比較して少し多めに決めさせてあげることです。
それを意識するだけでも、子供自身で決断する経験が増え、その経験で自発性が育ちます。
自発性が育っていけば、自ら習い事をはじめたいと言う日も近づいてくるでしょう。
ポイントの2つ目は「親が頭を柔らかくすること」です。
子供が自発性を発揮しようとするとき、その障害となるケースとして多いのが「親の頭のかたさ」です。
あなたも何かをはじめようとしたとき、頭がかたい人から「そんなことはやめといたほうがいい」と言われたり「そんなことして何になるの?」と言われたりして、「今後この人には何も言わないようにしよう」と思ったことがありませんか?
それと同じことが、不登校の子供の心のなかで起きます。
自発的に取り組みたいことがあっても、親の頭がかたいと思わせる過去の発言(不登校直後に否定された発言)を思い出し、「親には何も言わないでおこう」と思い、言い出せなくなるんですね。
つまり、心のなかで自発性が生じていても、現実的に自発性が生じるところまでいけなくなるのです。
ですから、その反対をやればいいんですね。
親が頭を柔らかく柔らかくして、その頭の柔らかさが日ごろの雑談を通して子供に伝わっていれば、子供は「今の親はあのときの親とは違うかもしれない」と思って話しやすくなります。そうなれば、習い事をはじめたいと思ったときに親に相談しやすくなり、現実的に自発性を発揮するところまでいけます。
自発性の発揮によって習い事をはじめ、継続した場合の不登校改善効果は前述のとおり。
素晴らしい未来につながっていくでしょう。
頭を柔らかくするためにはどうしたらいいの?と思った方は、普段やらないことをやってみてください。
1日に1つでもいいので、いつもはしないことをしてみるのです。(親が、ですよ)
いつもは飲まないジュースを買って飲んでみる、いつもは話さない店員さんと話してみる、いつもは観ないテレビ番組を観てみる……
小さなことからでもいいので、普段やらないことをやってみましょう。
それを心がけるだけでも、頭がほぐれてきて柔らかくなっていきます。
ポイントの3つ目は、吐き出しきるまでの傾聴。
親が子供の話を十分に聴き、それによって子供が全部吐き出せたような感覚になれれば、それが自発性発揮につながっていきます。
こんな経験ありませんか?
話したいことを思いっきり話して全部吐き出せた!
↓
なんだかすっきりして力が湧いてきた!
↓
何かしてみようという気持ちになった!
心がすっきりすると、人は自発的になるものです。
それは子供も同じです。
子供の自発性発揮のために「吐き出しきるまでの傾聴」にトライしてみましょう。うまくできるようになるまで試行錯誤をつづけ、うまくできるようになってから日常的に傾聴を継続できれば、それは子供のものすごい力になります。
専門家のサポートなしで一人で実行する方にとってはたいへん難しいことだと思いますが、あきらめずに取り組んでみてください。
話したいことを全部吐き出して心がすっきりすることで自発的になる点について、もう少し具体的に説明しておきます。
今これを読んでいるあなたも経験があると思いますが、心に何か抱えていると、その抱えているものに意識がとられてしまい、内向きの思考になり、何か新しいことをはじめようと思いづらくなるものです。
ところが、その抱えているものがなくなることですっきりすると、意識が外に向かい、外向きの思考で何か新しいことをはじめようと思いやすくなります。
ですから、心に抱えているものをどんどん吐き出させてすっきりさせれば、その人は自ら前進するんですね。(=自発性発揮)
その「吐き出させる行為」を傾聴で行えば、なおさら効果的です。
人は話す過程で身体的にも精神的にも“勢い”が生じますから、その勢いが不登校脱出に向かうエネルギーとなるのはもちろん、自発性の発揮にもつながります。
だからこそ、親が「吐き出しきるまでの傾聴」に取り組み、子供が話したいことを全部吐き出して心がすっきりすることがとてつもなく重要なのです。
子供の話を十分に聴いてあげることで子供が生まれ変わったように(別人のように)変化することはよくあることなので、そのメリットを楽しみにしながら傾聴をつづけていくといいでしょう。
以上、3つのポイントを心がけるだけでも、子供が自発的に習い事をはじめ、継続する可能性が高まります。
不登校の子供が自らはじめた習い事で、それを継続できたら、その習い事は不登校脱出に向かわせる「良いこと」になります。習い事を不登校脱出に向かわせるきっかけにするために、3つのポイントを頭に入れておいてください。
執筆者:SIAPROJECT代表 木村優一
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